「ちょっとあのExcel見てもらえますか?」「今、田中さんが開いているので読み取り専用になってます」——こんなやり取りを、何度繰り返しただろう。悪気はないのに、ただ「誰かが開いている」というだけで、仕事が止まる。これはExcelの欠陥ではなく、そもそも複数人で同時に使うために設計されていないという構造的な問題です。

「誰かが開いているので編集できません」という通知の絶望

Excelは本来、個人が使うデスクトップツールです。ローカルファイルとして保存し、一人が開いて作業する——そのシンプルな前提で設計されています。共有フォルダに置いて複数人で使い始めた瞬間から、「編集の順番待ち」という非効率が生まれるのは避けられません。

「読み取り専用で開く」という選択肢が出ることもありますが、そうなると自分の変更は保存できません。結局、相手がファイルを閉じるのを待つか、別名コピーを作って後でマージするか——どちらも手間とリスクを増やすだけです。

編集待ちの時間が、プロジェクト全体の足を引っ張る

1回の「待機」は数分かもしれません。しかし、これが毎日繰り返されるとどうなるでしょうか。5人のチームで1日3回発生すれば、週に75分以上が「待つだけ」の時間として消えていきます。直接作業を止めるだけでなく、確認の連絡や代替手段を探すコミュニケーションコストも積み上がります。

特にプロジェクト管理表や顧客管理台帳のように、複数人が頻繁に更新するファイルほど問題は深刻です。誰かが常に開いている状態では、データが常に「最新」とは言えない状態になります。

クラウド型データベースだからできる、チーム全員の同時更新

kintoneはクラウド上のデータベースです。データはサーバーに置かれており、各メンバーはブラウザからアクセスします。誰かがレコードを開いていても、他のレコードは自由に閲覧・編集できます。Excelのように「ファイル全体がロックされる」という概念がありません。

さらに、同じレコードを複数人が同時に開いている場合も、kintoneは更新の衝突を検知して警告を出す仕組みがあります。「上書き」事故を防ぎながら、並行作業を実現できるのです。

「待機時間ゼロ」が組織のスピードを劇的に変える

「読み取り専用」の問題がなくなると、チームの働き方そのものが変わります。朝一番に全員が一斉に日報を入力できる。営業担当が外回り中にスマホから商談記録を更新できる。管理者はリアルタイムで進捗を確認できる——「誰かが終わるのを待つ」という行動パターンが消えるのです。

小さな待機時間の積み重ねは、組織全体の機動性に直結します。変化の速いビジネス環境において、データ入力・更新のスピードは競争力の一部です。Excelの「順番待ち文化」から抜け出すことが、DX推進の第一歩になることも少なくありません。

同時編集の問題は「ツールの選択」で解決できます。kintoneへの移行を検討する際、まず「誰が何のためにデータを更新しているか」を整理することから始めてみてください。意外と多くの業務が、クラウドデータベースに向いていることに気づくはずです。