「Power BIを入れたのに、グラフの数字が合わない」——導入初期に最も多いつまずきです。そして原因を追いかけると、BIの設定ではなく取り込んでいる元データの形にたどり着くことがほとんどです。長年Excelで運用してきた表は、人間が読むために最適化されていて、機械が集計するための形にはなっていません。本記事では、その差がどこにあるのかと、直し方の順序を整理します。

セル結合・小計行・横持ち——BIを壊す3大要因

取り込んだ瞬間におかしくなる表には、共通の特徴があります。

加えてよくあるのが、表の上に置かれたタイトル行や注釈です。1行目が見出しである前提で取り込むため、上に説明文が入っているだけで列名がずれます。

「人が見る表」と「機械が読む表」の違い

整備の考え方はシンプルで、集計の元になる表と、人に見せる表を分けることに尽きます。機械が読む表には、次の性質が求められます。

この形は一般に「縦持ち」と呼ばれます。見た目は冗長で、人が眺めるには不便です。しかし縦持ちの明細さえあれば、月別・取引先別・商品別のどの切り口の表も後から作れます。逆に、横持ちの集計済みの表からは、失われた粒度を取り戻せません。ここが決定的な違いです。

【判断基準】どこで直すか——3つの選択肢と優先順位

データが整っていないと分かったとき、直せる場所は3つあります。どこで直すかで、その後の手間が大きく変わります。

実務では②から着手し、並行して①を進めるのが現実的です。絶対に避けたいのは、Excelを手作業で毎回整形してからBIに読ませる運用です。それでは「毎月のレポート作成が自動化されない」という、BIを入れた目的そのものが達成されません。整形は必ず、繰り返し実行できる形で仕組みに載せてください。

データ整備を「仕組み」にする——入力段階からの改善

整形を自動化しても、入力側が荒れ続けていれば、いずれ想定外の値で処理が止まります。長く使う仕組みにするには、入力側にも手を入れる必要があります。

ここまで来ると、もはやExcelの範囲を超えます。実際のところ、「BIのために元データを整える」という話は、突き詰めると「入力の場をデータベースに移す」という結論に行き着くことが多いのが実感です。Power BIの導入相談が、kintoneの導入相談に変わる場面は珍しくありません。

まとめ——BIの前に、データの形を見る

グラフが合わないとき、まず疑うべきはBIの設定ではなく元データの形です。セル結合・小計行の混在・横持ち——この3つを確認するだけで、原因の大半は説明がつきます。そして直す場所は、できるだけ入力に近い側であるほど、後の手間が減ります。

ダッシュボードの見栄えを整えるのは最後の工程です。土台となるデータの形が決まっていないうちに画面を作り込んでも、作り直しになるだけです。

DX Connectでは、Power BI導入の前段にあたるデータ整備——現状のExcelの構造診断、Power Queryによる整形の設計、入力側の作り替えまでをご支援しています。「グラフの数字が合わない」「毎月の手作業が減らない」という状態からのご相談も歓迎しますので、まずは今お使いの表の形をお聞かせください。