kintoneを使い始めて1年、2年と経つと、多くの会社が同じ壁にぶつかります。「アプリ一覧を開いたら、似たような名前のアプリがずらりと並んでいて、どれが今使われているのか分からない」——。作りやすさが武器のkintoneは、放っておくとアプリがどんどん増えていく宿命も抱えています。本記事では、アプリが増え続ける構造的な理由と、棚卸しの具体的な手順、統合すべきアプリの見分け方、そして乱立を再発させないためのルールを解説します。
なぜkintoneアプリは増え続けるのか——3つの構造的な理由
アプリが乱立するのは、担当者が怠慢だからではありません。kintoneの仕組み自体に「増えやすい」構造があるからです。
- 作るコストが低すぎる——数分でアプリが作れるため、「とりあえず作ってみる」が気軽にできてしまう
- 部署・担当者ごとに似たアプリを作る——既存アプリの存在を知らず、同じような顧客管理・進捗管理アプリが複数生まれる
- 「消す」判断は誰もしたくない——使われなくなったアプリも、誰かのデータが入っている手前、消す決断ができず放置される
この3つが重なると、半年もすればアプリ一覧は見づらくなり、1〜2年で「もう誰も全体を把握していない」状態に陥ります。
棚卸しの手順——利用状況の確認と「消していいアプリ」の見分け方
いきなり整理を始める前に、まず現状を正しく把握することが大切です。次の順序で進めます。
- ① 全アプリを一覧化する——アプリ名・作成者・作成日・用途をスプレッドシートに書き出す
- ② 直近のレコード更新日を確認する——数ヶ月〜半年以上更新がないアプリは休眠候補
- ③ アクセスログ・利用者数を確認する——特定の1〜2人しか触っていないアプリは属人化のサイン
- ④ 用途が重複していないか照合する——名前は違っても同じ目的のアプリがないか横並びで確認する
この棚卸し自体が、実は最も価値のある作業です。多くの会社は「そもそも何個アプリがあるか」を正確に答えられません。まず可視化することが、立て直しの起点になります。
【判断基準】統合すべきアプリ・分けたままにすべきアプリの見分け方
棚卸しが終わったら、アプリを「残す・統合する・アーカイブする」の3つに仕分けます。判断に迷ったときは、次の基準で考えると整理しやすくなります。
- 統合すべきサイン——同じ対象(顧客・案件など)を別々のアプリで管理していて、突き合わせが手作業になっている
- 分けたままでよいサイン——名前は似ていても、参照する権限者・更新頻度・業務プロセスが明確に異なる
- アーカイブすべきサイン——過去半年以上更新がなく、かつ他のアプリからルックアップ等で参照もされていない
迷ったら、「このアプリが今日消えたら、誰がいつ困るか」を担当者に聞いてみるのが一番早い判定法です。明確に答えられない場合、そのアプリはすでに形骸化している可能性が高いといえます。なお、アーカイブは即削除ではなく、一定期間は退避(非表示・エクスポート保存)にとどめるのが安全です。
乱立を再発させない、アプリ作成ルールの作り方
棚卸しと統廃合をやり切っても、作成ルールを決めなければ半年後には元に戻ります。再発を防ぐために最低限決めておきたいのは次の2点です。
- 新規アプリ作成の申請・確認フロー——「似たアプリが既にないか」を作成前に確認する一手間を仕組み化する
- アプリ管理台帳の定着——用途・担当者・作成日を記録する台帳を作り、四半期に一度は棚卸しを回す
ここで大事なのは、申請フローを重くしすぎないことです。ハードルを上げすぎると「勝手に作る」動きが逆に増えます。台帳への一行記入程度の軽い仕組みを、無理なく続けられる形で残すのが現実的です。
まとめ——棚卸しは「一度やって終わり」ではなく仕組みにする
アプリの乱立は、kintoneの自由さが生んだ副作用であり、誰か一人の責任ではありません。だからこそ、個人の努力ではなく仕組みで防ぐ発想が必要です。まずは現状を可視化する棚卸しから始め、統合・アーカイブの判断基準を持ち、作成ルールで再発を防ぐ——この3ステップが遠回りに見えて一番確実な立て直し方です。
DX Connectでは、増えすぎたkintoneアプリの棚卸しから、統廃合の実行、再発防止のルール整備までを一気通貫でご支援しています。「アプリがどれだけあるかも把握できていない」という段階でも、まずは現状把握からご相談ください。