「kintoneのアプリは10個以上あります。動いてはいるのですが、使われている感がないんです」——導入から1年前後の会社でよくいただくご相談です。日報、案件管理、問い合わせ、備品申請。どれも必要で作ったものですし、それぞれ単体では問題なく動いています。それでも社員からは「どこに何を入れるのか分からない」という声が上がる。アプリの数が増えることと、kintoneが業務の中心になることは別の話です。本記事では、アプリの寄せ集めで止まる会社と、業務ポータルに育つ会社の分かれ目を整理します。

アプリは増えたのに「使われている感」がない

アプリが増えた状態で起きるのは、機能の不足ではなく案内の不足です。実際にご相談をいただくときの症状は、だいたい次のどれかに当てはまります。

これは作ったアプリが悪いわけではありません。kintoneは一つの業務課題に対して一つのアプリを手早く作れる点が強みで、その強みのまま進めると、業務の流れではなく思いついた順に機能が並びます。使う側からすると、引き出しだけが増えて地図がない状態です。

寄せ集めと業務ポータルの分かれ目は「入口」

育っている会社を見ていると、機能を足しているというより入口を一つに決めているという違いが際立ちます。具体的には次のような状態です。

逆に、寄せ集めで止まる会社は、入口が人によって違います。ある人はブックマークから特定のアプリへ直行し、別の人は毎回一覧から探す。この状態では、どれだけアプリを作っても「業務はkintoneを見れば分かる」にはなりません。ポータル化とは、機能を増やす作業ではなく、散っている入口を一つにまとめる作業だとお考えください。

なお、ポータルやスペースとして使える機能の範囲や表示のカスタマイズ方法は、契約しているコースや製品側の更新によって変わることがあります。設計を固める前に、お使いの環境で何ができるかを最新の公式情報でご確認ください。

【判断基準】ポータル化に進むべき会社・まだ早い会社

ご相談を受けたとき、私がまず確認しているのは「今あるアプリが使われているか」です。使われていないアプリを束ねても、束ねた入口が使われないだけで終わります。目安としては次のように切り分けています。

ポータル化に進んでよいサイン

まだ早い、先にやることがあるサイン

後者に当てはまる場合は、先に整理が必要です。使われていないアプリの見極め方は増えすぎたkintoneアプリ、どれから片付ける?、入力ルールの決め方はルールなしのkintone運用は必ず破綻するで詳しく扱っています。順番を守るだけで、ポータル化の効果は大きく変わります。

どの順で育てるか——無理のない3段階

いきなり全社ポータルを設計しようとすると、たいてい決まりません。関係者が増えるほど「載せたいもの」が膨らむためです。現実的には、次の順で進めるのをおすすめしています。

大事なのは、第1段階で載せる情報をあえて絞ることです。入口に情報を詰め込むと、結局読まれません。「未処理」と「今日知っておくべきこと」の2つで十分に機能します。定着しているかどうかを確かめる観点はkintone導入1年、成果は出ていますかもあわせてご覧ください。

まとめ——足すのではなく、入口を決める

アプリの寄せ集めから業務ポータルへの違いは、機能の量ではありません。社員が毎朝どこを開くかが決まっているかどうか、その一点です。アプリを追加する前に、今あるアプリへの入口が一つになっているかを確認してみてください。

まず試していただきたいのは、最もkintoneを使っている部門で「未処理とお知らせだけの入口」を作ってみることです。1か月使ってみれば、次に何を載せるべきかは現場から出てきます。

DX Connectでは、アプリの棚卸しからスペース設計、部門への展開までを一緒に進めるご支援をしています。「アプリは増えたが手応えがない」という段階でも、お気軽にご相談ください。