kintoneと基幹システムをつなぐときは、「APIでつなぐ話の前に、すでに社内にあるファイルの受け渡しの仕組みに載せられないか」を検討する価値があります。夜間にCSVを書き出して所定の場所に置き、別のシステムが取り込む——こうした流れが昔から動いている会社では、新しい連携方式を増やすより、今ある仕組みの上にkintoneを載せるほうが現実的な場合があります。本記事では、その判断の考え方と、進めるときに先に決めておくことを整理します。

社内にすでに「ファイルを渡す仕組み」がある会社の悩み

基幹システムや会計システムを長く使っている会社では、システム間のデータ受け渡しがファイル経由で組まれていることが珍しくありません。決まった時刻に決まった形式のファイルが出て、決まった場所に置かれ、受け取る側が取り込む。HULFTのようなファイル転送・連携基盤を使っている会社もあります。

ここにkintoneが入ってくると、担当者は次のような迷いに直面します。

連携方式の全体像——どんな手段があり、どう選ぶか——はkintoneと基幹システムのデータ連携で扱っています。本記事はそこから一歩進んで、「社内に既にファイル連携の仕組みがある場合、それに乗るべきか」に絞って考えます。

ファイル連携とAPI連携——どちらが向くかは相手側の事情で決まる

この判断で最初に押さえておきたいのは、選択肢を決めるのはkintone側ではなく、つなぐ相手側の事情が大半だということです。kintoneはAPIもCSVの読み書きも用意されているので、どちらの方式でも受けられます。詰まるのはいつも相手側です。

大まかな向き不向きは次のように整理できます。

そして実務では、「すぐ反映されないと困るのか」を現場に確認するだけで方式が決まることがよくあります。「できれば早いほうがいい」は要件ではありません。翌朝までに入っていれば業務が回るのであれば、ファイル連携で十分です。逆に受注の瞬間に在庫を引き当てる必要があるなら、ファイル連携では成り立ちません。

【判断基準】既存の連携基盤に載せる場合・別の手段を使う場合

すでに社内で動いているファイル連携基盤にkintoneを載せるかどうかは、次の観点で判断してきました。

既存の連携基盤に載せる判断がしやすいのは、こういう場合です。

逆に、別の手段を検討したほうがよいのは次の場合です。

判断を分けるのは技術的な優劣ではなく、「その仕組みを誰が面倒を見るのか」が決まっているかどうかです。保守の担い手がいない基盤に新しい連携を足すと、動いているうちはよくても、止まったときに誰も手を出せません。なお、各製品の対応方式・接続要件は提供元の仕様によります。仕様は変わりうるため、方式を固める前に最新の公式情報と保守ベンダーの確認を取ってください。

運用で決めておくこと(受け渡しの時刻・失敗時の通知・二重取り込みの防止)

方式が決まったあと、設計で漏れやすいのは運用側の決めごとです。少なくとも次の4点を先に文書にしておくことをお勧めします。

とくに2番目が重要です。自動で動く仕組みは、動いているときは誰の目にも入りません。止まったときに備える考え方は動いていたAI自動化が、ある日止まるでも扱っており、ファイル連携でもまったく同じことが起きます。また、こうした決めごとを運用ルールとして残しておく進め方は最低限決めておくべき5つのルールを参考にしてください。

まとめ——「誰が面倒を見るか」から決める

kintoneと社内システムのファイル連携は、技術的には難しい話ではありません。判断を難しくしているのは、既存の連携基盤を保守できる人がいるか、失敗に気づく仕組みがあるか、という組織側の条件です。

進め方としては、まず現場に「どのくらいの遅れなら業務が回るか」を確認し、方式の選択肢を絞ります。次に、既存の基盤に保守の担い手がいるかを確認します。ここまで決まれば、あとは受け渡しの時刻・失敗の通知先・重複の防ぎ方・更新の向きを文書にするだけです。手作業のCSVをやめる前に決めるのは、ツールではなくこの4点です。

DX Connectでは、既存の連携基盤を踏まえたkintoneの連携方式の整理から、運用の決めごとづくり、保守体制の設計までご相談を承っています。「今のファイル受け渡しにkintoneを載せられるか」の見立てだけでも構いませんので、現状をお聞かせください。