kintoneでアプリが数本に増えてくると、必ず出てくる悩みがあります。「顧客アプリと案件アプリに、同じ会社名を2回入れている」「案件ごとの対応履歴を、案件の画面から見たい」。つまりアプリ同士をどうつなぐかという話です。検索しても出てくるのは個々の機能の操作手順ばかりで、「自分のケースではどれを使えばよいのか」が分かりません。本記事では、つなぐ手段を3つに分けて性格の違いを整理し、選び方と、つないだ後に決めておくべきことをお伝えします。

アプリを分けた結果、「同じ情報を2回入れる」が起きる

kintoneは業務ごとにアプリを分けて作るのが基本です。顧客、案件、見積、問い合わせ、日報——分けること自体は正しい設計です。ところが分けた途端に、現場では次のことが起きます。

このうち前半はデータの重複、後半は「見えない」問題です。どちらもアプリを分けたこと自体の失敗ではなく、分けた後につなぐ設計をしていないことから来ています。そもそものアプリの切り方で起きる問題は使われないkintoneアプリの設計ミスで扱いました。本記事はアプリの切り方は決まっている前提で、その間をどうつなぐかに絞ります。

なお、アプリが増えて「どこから入ればよいか分からない」という入口の問題は別の論点です。そちらはkintoneが「アプリの寄せ集め」で終わる会社、「業務ポータル」に育つ会社の違いをご覧ください。

ルックアップ・関連レコード一覧・プラグイン——それぞれ何をつなぐ仕組みか

つなぐ手段は、おおまかに3つに分けて考えると迷いません。それぞれ「何を解決する仕組みなのか」が違います。

整理すると、値を持ってきたいならルックアップ、見せたいだけなら関連レコード一覧、それ以上ならプラグインや開発という順番です。この順番で考えると、最初の2つで足りる場合も少なくありません。なお、kintoneの機能や制限は提供元の仕様変更で変わりうるため、具体的に設計する段階ではその時点の公式情報をご確認ください。

【判断基準】標準機能で足りる場合・プラグインや連携が要る場合

切り分けの目安は、次のとおりです。

標準機能(ルックアップ・関連レコード一覧)で足りるのは、こういう場合です。

プラグインや連携の検討が必要になるのは、次の場合です。

最後の点は、アプリ間連携とは別の判断が必要な領域です。社内の既存システムとつなぐ話はkintoneと基幹システムのデータ連携で、手段の分類から整理しています。

もう一つ、目安があります。「標準機能で8割の用が足りるなら、残り2割は運用でしのぐ」です。残り2割のためにプラグインや開発を入れると、作った本人以外が触れない部分が増えます。2割の不便と、触れない部分が増える不便を比べて決めてください。

つないだ後に困らないための決めごと

つなぎ方を決めたら、公開する前に3つだけ決めておいてください。これを飛ばすと、半年後に「どちらの数字が正しいのか分からない」という状態になります。

この3つは、アプリを作る前に紙1枚で書けます。つなぐアプリの名前を並べ、矢印を引いて、どちらが正かとキー項目を書き込むだけです。設定を触る前にこれをやるかどうかで、後の手戻りがはっきり変わります。

まとめ——「値を持ってくる」か「見せる」かを先に決める

kintoneのアプリ間連携でつまずくのは、たいてい解きたい問題が「二重入力をなくす」なのか「見えないものを見せる」なのかを分けずに、機能の名前から考えたときです。

値を持ってきたいならルックアップ、見せたいだけなら関連レコード一覧。この2つで足りるケースが実際には多く、足りないと判断するのはその後でよいのです。そして、つなぐ前に「どちらが正か・キーは何か・更新の向きはどうするか」を決めておく。この順番にすれば、アプリが増えても整理のつく状態を保てます。

DX Connectでは、kintoneのアプリ構成の見直しからアプリ間連携の設計、標準機能で足りるかどうかの切り分けまでご相談を承っています。「いま分けているアプリのつなぎ方が適切か見てほしい」という整理だけでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。